「エアコンをつけているから空気はきれいなはず」と思っていませんか。空調と換気は似た言葉ですが、空調設備と換気設備の役割はまったく別のものです。違いを知らないまま使うと、室内の空気がよどんだり、冷暖房の効きが悪くなったりします。この記事では、空調と換気それぞれの役割と、両方をうまく使うための考え方を説明します。
空調と換気の基本的な違い
空調は、室内の空気の状態を整えることです。温度や湿度を調整し、過ごしやすい環境をつくります。エアコンをはじめとする空調設備がこの役割を担います。
換気は、室内の空気と外の空気を入れ替えることです。人の呼吸で増えた二酸化炭素、におい、湿気、建材や家具から出る化学物質などを外へ出し、新鮮な空気を取り入れます。換気扇や給気口などの換気設備が担当します。
ひとことで言えば、空調は「今ある空気を整える」、換気は「空気そのものを入れ替える」という違いです。
知っておきたいポイント
1. 一般的なエアコンは空気を入れ替えていない
エアコンは室内の空気を吸い込み、温度を変えて同じ部屋に戻しています。室内機と室外機をつないでいるのは冷媒の配管で、空気は行き来していません。そのため、長時間エアコンだけで過ごすと、温度は快適でも二酸化炭素やにおいは室内にたまっていきます。
換気機能を備えた機種も一部にありますが、入れ替えられる空気の量は機種によって異なります。お使いの機種の説明書で確認するのが確実です。
2. 換気の方法は3種類ある
機械を使う換気は、給気(空気を入れる)と排気(空気を出す)のどちらにファンを使うかで分かれます。
- 第1種換気:給気も排気もファンで行う。空気の流れを管理しやすい
- 第2種換気:給気だけファンで行う。外から汚れた空気が入りにくい
- 第3種換気:排気だけファンで行う。住宅で多く使われている
トイレや浴室の換気扇は、第3種換気の身近な例です。
3. 住宅には常時換気の決まりがある
建築基準法のシックハウス対策により、住宅の居室には、1時間で部屋の空気の半分以上が入れ替わる能力を持つ機械換気設備の設置が求められています。いわゆる「24時間換気システム」です。電気代や寒さが気になって止めてしまう人もいますが、常に動かすことを前提に設計されています。
4. 換気による熱のロスは減らせる
換気をすると、せっかく冷やした空気や暖めた空気が外に逃げます。これを抑えるのが「全熱交換器」です。排気する空気の熱と湿気を、取り入れる空気に移してから室内に入れるため、冷暖房の負担を小さくできます。オフィスや店舗では、空調設備と組み合わせて使われることが多い機器です。
注意点・よくある勘違い
空気清浄機は換気の代わりにならない
空気清浄機は、ほこりや花粉などをフィルターで取り除く機器です。二酸化炭素を減らしたり、酸素を補ったりすることはできません。空気をきれいにする働きはありますが、換気とは別のものとして考える必要があります。
窓を開けるだけでは空気が流れないことがある
窓が1か所だけだと、空気の入口と出口が同じになり、入れ替わりにくくなります。離れた2か所を開けて通り道をつくると効率が上がります。窓が1つしかない部屋では、ドアを開けたり、換気扇を回したりして出口を確保しましょう。
冷暖房中に換気を止めるのは逆効果になりやすい
効きを良くしようと換気を完全に止めると、空気の質が下がります。換気は続けたうえで、フィルター掃除や設定温度の見直しで効率を上げるほうが、快適さと健康の両方を保てます。
まとめ
- 空調は空気の状態を整え、換気は空気を入れ替える
- 一般的なエアコンに換気の働きはない
- 機械換気には第1種から第3種までの方式がある
- 住宅の24時間換気は止めずに使うのが基本
- 全熱交換器を使うと、換気による熱のロスを抑えられる
空調設備と換気設備は、どちらか一方ではなく、両方がそろって快適な室内環境になります。