イタチ対策の基本は、いったん屋内から追い出してから構造で塞ぐという順序である。作業に入る前に天井裏の落下・感電・粉じんへの備えとしてヘルメット・手袋・防じんマスクを用意し、繁殖期の夜間に完全封鎖して幼獣を閉じ込めない配慮も欠かさない。まず外周を一周して軒天、床下換気口、配管貫通部、屋根と壁の取り合い、戸袋裏、基礎まわりの隙間を点検し、ベビーパウダーや簡易カメラで足跡と出入り時間帯を把握して主動線を特定する。次に日没前のタイミングで強光や人感ライト、短期使用の動物用忌避剤を通路に当てて一時的に外方向へ誘導し、数晩連続で動きが外へ抜けることを確認してから恒久封鎖に移る。材料はステンレス金網ならSUS304の6〜9mm目で線径0.8mm前後、パンチングメタルなら板厚1.0〜1.6mmで孔径4〜6mm・ピッチ7〜9mmが扱いやすく、切断端は指傷防止と剛性確保のため折り返しておく。固定はステン皿タッピング3.5〜4.2mmを100〜150mmピッチで用い、薄板はブラインドリベット、コンクリートはプラグ併用とし、周縁の微小隙間はブチルテープと防鼠パテで充填してシリコーン単独に依存しない。換気口は外付けキャップ方式で開口外周に20〜30mm以上のかぶりを確保し、四隅をL金具で抜け止めする。配管やケーブルの貫通部はスリーブ外周に鞍形のパンチングを当て、一次止水として防鼠パテ、二次止水として表面にブチルを重ねる。軒天の割れは下地を補修したうえで金網を内貼りし、通気が必要な場所は9mm目程度で目詰まりを避ける。屋根と壁の取り合いは水切りの流れを阻害しないよう重ね方向を守り、外から差し込み下側を押さえる構成とする。基礎のクラックや土間の隙間は目地材で一次充填したのち表面を金網で押さえ、ピンアンカーで機械固定する。主動線は最後に閉じ、一方向ゲートで退去を最終確認してから日中に本締めする。施工後は屋内を消灯して外光の漏れを探る入光テストと、煙や線香での微小漏気確認を行い、ビスの増し締めと切断端や孔周りのタッチアップで防錆を仕上げる。衛生処理は糞尿の二重袋回収、洗剤洗浄と消毒、十分乾燥、必要に応じた断熱材交換までを含めると再発時の臭い戻りを抑えやすい。完了後は簡易センサーや録音で一〜二週間モニタリングし、静穏が続けば施工完了と判断する。避けるべきは樹脂ネットや虫用網のように噛み破られる素材、目の粗い金網、コーキングだけの封鎖、通気や排水を塞いで結露や雨漏りを誘発する処置、夜間の全面封鎖、雨仕舞いを逆勾配にする施工である。仕上がり品質の勘どころは十分なかぶり、端部の折り返し、機械固定と可塑シールの併用、固定ピッチの適正化の四点にあり、海沿いや工業地帯では腐食環境を考慮してステンレスを基本とし、最終目標は通気を確保しつつ指が入る三センチ級の孔を一切残さないことである。